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戒告処分とは?意味・種類・他処分との違いをわかりやすく解説

この記事の監修者:株式会社マイビジョン代表取締役 玉田響 この記事の監修者:株式会社マイビジョン代表取締役 玉田響

この記事の監修者
株式会社マイビジョン代表取締役 玉田響

中小・ベンチャー企業を中心に、理念設計(MVV設計)や採用戦略の構築などを50社以上支援。経営者と伴走しながら、組織づくり・人材育成に取り組んでいる。採用媒体の活用やSNS運用アドバイスでも実績あり。

「戒告処分」という言葉を聞いたことはありますか?

「もしかしたら、自分も戒告処分を受ける可能性があるかもしれない…」 「従業員の行動に問題があり、戒告処分を検討しているが、具体的にどうすればいいのかわからない」

この記事では、戒告処分とは何か、その意味や種類、他の処分との違いをわかりやすく解説します。さらに、戒告処分を受けた場合の対応や、企業側の注意点もご紹介。この記事を読めば、戒告処分に関する疑問や不安を解消し、適切な対応ができるようになります。

戒告処分とは?その定義と法的根拠

戒告処分とは、企業や組織において、従業員が就業規則などの規律に違反した場合に科される懲戒処分の一つです。その主な目的は、違反行為に対して注意を促し、将来の同様の行為を防止することにあります。戒告処分は、他の懲戒処分(減給、出勤停止、降格、解雇など)と比較して、比較的軽微な処分と位置づけられますが、従業員の記録に残るため、その後の処遇に影響を与える可能性もあります。この処分は、労働基準法などの法律で直接的に定められているわけではありませんが、多くの企業では就業規則に懲戒処分の種類として規定されており、その根拠とされています。したがって、戒告処分が有効となるためには、就業規則にその旨が明記され、かつ、処分理由となる行為が就業規則に違反するものであることが必要です。

戒告処分が適用される具体的な事例

戒告処分は、従業員が就業規則に違反した場合や、職務遂行上の軽微な問題行動があった場合に、その行為を戒め、今後の改善を促すために科される処分です。ここでは、戒告処分が適用される可能性のある具体的な事例をいくつかご紹介します。これらの事例を通して、どのような状況が戒告処分の対象となりうるのか、理解を深めていきましょう。

遅刻・欠勤の常習化

定められた始業時刻に繰り返し遅刻したり、正当な理由なく無断欠勤を繰り返したりする行為は、就業規則における服務規律違反にあたります。例えば、1ヶ月のうちに5回以上の遅刻があり、その都度注意を受けても改善が見られない場合、戒告処分となることがあります。これは、業務への影響だけでなく、他の従業員との公平性や規律維持の観点からも問題視されます。

職務上の軽微な怠慢や不注意

担当する業務において、注意不足や不注意によって軽微なミスを繰り返す場合も、戒告処分の対象となることがあります。例えば、顧客への提出書類に誤字脱字が頻繁に見られたり、簡単な事務処理でケアレスミスが重なったりするなど、業務の質を低下させるような行為です。これにより、直接的な損害が発生していなくても、注意義務違反とみなされる可能性があります。

ハラスメントや不適切な言動

職場内でのパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、あるいは同僚や部下に対する侮辱的な言動など、就業規則で禁止されているハラスメント行為や、社会通念上不適切とされる言動も戒告処分の対象となります。たとえ悪意がなくとも、相手に不快感や精神的苦痛を与えた場合、または職場の風紀を乱すような言動があった場合、その程度によっては戒告処分が下されることがあります。これは、健全な職場環境を維持するために重要な措置です。

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戒告処分と他の懲戒処分との違い

戒告処分は、従業員の服務規律違反に対して科される懲戒処分の中でも、比較的軽微なものと位置づけられています。しかし、その具体的な内容や影響、そして他の懲戒処分との重さの違いを明確に理解することは、企業側が適切な処分を下すためにも、従業員側が自身の行為の重大さを認識するためにも重要です。本セクションでは、戒告処分が、譴責、減給、出勤停止、解雇といった他の主要な懲戒処分とどのように異なるのかを、それぞれの特徴や影響、重さの観点から比較しながら解説します。

戒告処分と他の懲戒処分の比較

処分内容影響重さ(目安)
戒告処分始末書を取らず、将来を戒める旨の通告記録は残るが、直接的な経済的・身分的不利益は少ない最も軽い
譴責始末書を取らず、将来を戒める旨の通告(戒告とほぼ同義)記録は残るが、直接的な経済的・身分的不利益は少ない比較的軽い
減給一定期間、給与を減額する直接的な経済的損失が発生する中程度
出勤停止一定期間、就業を禁止する賃金が支払われない期間が生じ、社会的な信用にも影響しうる重い
解雇雇用契約を一方的に解除する職を失い、経済的・社会的に甚大な影響を受ける最も重い

1. 譴責との違い

戒告処分と最も近い処分が譴責です。両者は、始末書の提出を求めない点で共通しており、将来の改善を促すという目的も同じです。一般的に、戒告処分は「将来を戒める」という行為そのものを指し、譴責も同様に「厳しく責める」という意味合いで使われます。法律上の明確な区別は必ずしもありませんが、就業規則等で両者を並列して規定し、戒告をより軽微なものとして位置づける企業もあります。いずれにしても、直接的な経済的損失や身分への影響はほとんどありません。

2. 減給との違い

減給処分は、戒告処分とは異なり、従業員に直接的な経済的損失を与える処分です。戒告処分が主に将来の行動に対する注意喚起であるのに対し、減給は違反行為に対するペナルティとして、一定期間の給与を減額します。このため、従業員にとっては戒告処分よりもはるかに重い影響を伴います。就業規則には、減給の限度額や期間が具体的に定められていることが一般的です。

3. 出勤停止との違い

出勤停止処分は、戒告処分よりも格段に重い処分です。戒告処分が将来の戒めであるのに対し、出勤停止は一定期間、従業員を出勤させず、その間の賃金を支払わないという、より直接的かつ重いペナルティです。これにより、従業員は経済的な損失を被るだけでなく、その期間の職務から離れることになります。懲戒処分の中でも、一定期間の就業を禁止する処分は、従業員への影響が大きいものと認識されています。

4. 解雇との違い

解雇は、懲戒処分の中でも最も重い処分であり、雇用契約を一方的に解除されることを意味します。戒告処分が将来の改善を促すための指導的な意味合いが強いのに対し、解雇は従業員を組織から排除する最終的な手段です。戒告処分を受けたとしても、直ちに解雇されることは通常ありません。解雇に至るには、一般的に重大な規律違反や、度重なる軽微な違反行為の積み重ねなど、極めて悪質なケースが該当します。

戒告処分による給与や昇進への影響

戒告処分は、懲戒処分の中でも最も軽い処分にあたりますが、それでも職員のキャリアに無視できない影響を与える可能性があります。このセクションでは、戒告処分を受けた場合に、具体的に給与、賞与、昇進、そして人事評価にどのような影響があるのかを詳しく解説します。戒告処分を受けた後の記録がどのように残り、将来のキャリアパスにどう影響するのかを知ることは、今後の職務遂行における重要な指針となるでしょう。

戒告処分を受けた場合、まず給与や賞与への直接的な減額措置は、一般的にありません。これは、戒告処分が「戒める」ことを目的とした処分であり、財産上の不利益を課すものではないためです。しかし、賞与の算定においては、懲戒処分の履歴が考慮されることが一般的です。そのため、戒告処分を受けた年度の賞与額が、本来の評価よりも低く算定される可能性はあります。この影響は一時的なものである場合が多いですが、個別の会社の規定や評価基準によって異なります。

昇進や昇格に関しても、戒告処分は少なからず影響を与えます。多くの企業や組織では、昇進・昇格の要件として、一定期間懲戒処分の履歴がないことが求められます。戒告処分を受けた場合、その処分が解消されるまでの期間(一般的には1年程度)は、昇進・昇格の対象から外されることがほとんどです。また、人事評価においても、戒告処分を受けた事実はマイナス評価として記録され、その後の評価に影響を及ぼす可能性があります。この「履歴」は、将来のキャリア形成において、昇進の機会を遅らせる要因となり得ます。したがって、戒告処分を受けた後は、一層の注意を払い、誠実に職務を遂行していくことが求められます。

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戒告処分を受けた場合の対応

戒告処分は、従業員にとって厳しい状況ですが、その後の対応次第で今後のキャリアに大きく影響します。この処分を単なるペナルティとして受け止めるのではなく、自己成長の機会と捉え、真摯に対応することが重要です。ここでは、戒告処分を受けた従業員が取るべき具体的な対応策と注意点について解説します。

処分の内容の確認

まず、なぜ戒告処分に至ったのか、その具体的な理由と処分内容を正確に理解することが不可欠です。処分通知書の内容を熟読し、不明な点があれば、速やかに上司や担当部署(人事部など)に確認を求めましょう。事実関係の認識に齟齬がないかを確認し、自身の非を客観的に把握することが、次のステップへの第一歩となります。

反省と改善の姿勢を示す

処分を受けた事実は重く受け止め、心からの反省の意を示すことが大切です。口先だけでなく、具体的な行動で改善の意思を伝えることが求められます。日々の業務に真面目に取り組み、以前よりも一層慎重かつ丁寧な姿勢で業務に臨むことで、周囲からの信頼回復に繋がります。

会社との建設的なコミュニケーション

処分後も、会社との円滑なコミュニケーションを維持することは極めて重要です。必要以上に委縮したり、孤立したりするのではなく、上司や同僚と積極的に関わりを持ちましょう。自身の改善に向けた取り組みや、業務への貢献意欲を適切に伝えることで、理解を得やすくなります。ただし、過度な自己弁護や言い訳は避け、謙虚な姿勢を保つことが肝要です。

再発防止策の検討と実行

今回の戒告処分を機に、今後同様の過ちを繰り返さないための具体的な再発防止策を真剣に検討し、実行に移しましょう。業務プロセスにおける改善点、自身の知識やスキルの不足、あるいは職場の環境要因など、多角的に原因を分析することが重要です。作成した再発防止策は、上司に報告・相談し、協力を得ながら実行していくことが望ましいです。

会社が戒告処分を行う際の手続きと注意点

企業が従業員に対して戒告処分を検討・実施する場面は、人事担当者や企業の経営者にとって、慎重な対応が求められる重要な局面です。従業員の不正行為や規律違反に対して適切な措置を講じることは、組織の秩序維持やコンプライアンス強化のために不可欠ですが、その手続きを誤ると、かえって法的リスクを招く可能性があります。本セクションでは、企業が戒告処分を行う際に踏むべき具体的な手続きと、留意すべき注意点について、人事担当者や経営者の視点から詳しく解説します。

戒告処分実施のための手続き

戒告処分を適正に行うためには、いくつかの重要な手続きを踏む必要があります。これらの手続きは、処分が公平かつ客観的に行われたことを示す証拠となり、後々の紛争を防ぐためにも不可欠です。

まず、最も重要な手続きの一つが「弁明の機会の付与」です。これは、従業員に対して、処分に至る事実関係やその処分内容について、自身の言い分を述べる機会を与えることです。どのような事実に基づいて処分が検討されているのかを具体的に伝え、従業員がそれに対して反論したり、事情を説明したりする機会を設ける必要があります。この機会を十分に与えないまま処分を決定することは、適正手続きの観点から問題となる可能性があります。

次に、「就業規則の確認」が挙げられます。戒告処分を行う根拠となる行為が、会社の就業規則に具体的に定められているかを確認し、その規則に則った手続きを踏むことが必須です。就業規則に定められていない事柄を理由に処分したり、定められた手続き(例えば、懲戒委員会の設置など)を無視したりすることは、処分の有効性を揺るがしかねません。人事担当者は、常に最新の就業規則の内容を把握し、コンプライアンスの観点からもその適用が妥当か慎重に判断する必要があります。

さらに、「記録の整備」も欠かせません。従業員の弁明内容、調査の過程、処分決定に至った経緯、そして最終的な処分内容とその理由を、日時とともに詳細に記録しておくことが重要です。これらの記録は、後々、処分が不当であったと訴えられた際に、企業側の正当性を証明するための客観的な証拠となります。

戒告処分実施にあたっての注意点

手続きと並行して、戒告処分を実施するにあたっては、いくつかの重要な注意点があります。これらを理解し、遵守することで、企業は法的リスクを最小限に抑え、組織の信頼性を維持することができます。

第一に、「公平性・客観性の担保」です。処分対象となる従業員だけでなく、関係者からの聞き取りなども含め、事実関係を偏りなく、客観的に調査することが求められます。感情的な判断や、特定の従業員に対する個人的な感情に基づいて処分を決定することは絶対に避けるべきです。

第二に、「適正手続きの遵守」です。前述した弁明の機会の付与や、就業規則に定められた手続きを正確に実行することが、処分の正当性を担保します。些細な手続きの不備が、処分の無効につながるリスクを孕んでいます。

第三に、「法的リスクの回避」です。不当な戒告処分は、従業員からの損害賠償請求や、労働審判、訴訟といった法的な紛争に発展する可能性があります。企業の経営者や人事担当者は、これらのリスクを常に意識し、専門家(弁護士や社会保険労務士など)の助言を得ながら、法的に問題のない範囲で処分を行うことが賢明です。コンプライアンスを重視し、従業員との良好な関係を維持するためにも、慎重な対応が求められます。

戒告処分に関するQ&A

ここでは、戒告処分に関してよくある質問とその回答をまとめ、読者の疑問解消に役立てることを目的としています。

  • Q1: 戒告処分は解雇事由になりますか? A1: 一般的に、一度の戒告処分が直接的な解雇事由となることは稀です。しかし、戒告処分を受けた後も改善が見られない場合や、他の重大な規律違反と併せて行われた場合には、解雇の判断材料とされる可能性はあります。
  • Q2: 戒告処分はいつまで記録に残りますか? A2: 戒告処分の記録がいつまで残るかは、会社の就業規則や個別の状況によって異なります。多くの企業では、一定期間(例: 1年間)経過すると記録が抹消されたり、昇給・昇進の評価から除外されたりする場合があります。詳細は社内規定をご確認ください。
  • Q3: 戒告処分を受けると、昇給や昇進に影響しますか? A3: 戒告処分は、一般的に人事評価に影響を与えます。そのため、昇給や昇進の機会が限定されたり、見送られたりする可能性が高まります。
  • Q4: 戒告処分に不服がある場合、どうすればよいですか? A4: 戒告処分に納得がいかない場合は、まず会社の就業規則を確認し、処分内容や手続きに誤りがないか検討してください。その後、人事部や上司に相談するか、必要であれば労働組合や弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
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