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ストックオプションのすべて:仕組み・税金・退職時の注意点

この記事の監修者:株式会社マイビジョン代表取締役 玉田響 この記事の監修者:株式会社マイビジョン代表取締役 玉田響

この記事の監修者
株式会社マイビジョン代表取締役 玉田響

中小・ベンチャー企業を中心に、理念設計(MVV設計)や採用戦略の構築などを50社以上支援。経営者と伴走しながら、組織づくり・人材育成に取り組んでいる。採用媒体の活用やSNS運用アドバイスでも実績あり。

「ストックオプション」という言葉を聞いたことはありますか? 自分の会社の株を将来的に購入できる権利のことですが、仕組みや税金、退職時の扱いは意外と複雑です。この記事では、ストックオプションの基本から、メリット・デメリット、具体的な活用方法まで、わかりやすく解説します。この記事を読めば、ストックオプションに関する疑問や不安を解消し、あなたのキャリアと資産形成に役立てることができるでしょう。

ストックオプションとは?

ストックオプションは、企業が役員や従業員に対して、自社の株式をあらかじめ定められた価格(権利行使価格)で一定期間内に購入できる権利を付与する制度です。この制度は、従業員のモチベーション向上や優秀な人材の確保・定着を目的として導入されることが多く、特にスタートアップ企業などでよく見られます。

ストックオプションの基本

ストックオプションの最も基本的な考え方は、「将来、株価が上昇した場合に、その値上がり益を受け取れる権利」を従業員に与えるということです。例えば、現在の株価が1,000円のときに、1,000円で自社株を購入できる権利(ストックオプション)を付与されたとします。もし将来、株価が3,000円に上昇した場合、権利者は1,000円で株を購入し、市場で3,000円で売却することで、2,000円の値上がり益を得ることができます。この権利は、無償で付与される場合もあれば、名目的な金額で購入できる場合もあります。

ストックオプションの仕組み

ストックオプション制度を理解するためには、いくつかの重要な要素を知る必要があります。

権利行使価格(けんりこうしさく): ストックオプションを行使して株式を購入する際の、あらかじめ定められた価格です。通常、付与時点の株価よりも低い価格に設定されることが多いですが、税制適格要件を満たすためには、付与時点の株価以上である必要があります。

権利行使期間(けんりこうしきかん): ストックオプションを権利行使できる期間のことです。この期間内に権利を行使しないと、権利は失効します。通常、付与されてから一定の期間(例えば3年や5年)が経過してから権利行使が可能になる「 vesting(権利確定期間)」が設けられている場合が多いです。

付与(ふよ): ストックオプションを役員や従業員に与えることを指します。付与される権利の数や種類は、役職や貢献度などによって異なります。

これらの要素が組み合わさることで、ストックオプションの具体的な仕組みが成り立ちます。

以下に、簡単なストックオプションの取引の流れをテキスト形式で示します。

1. 企業が役員Aにストックオプションを1,000株付与
   - 権利行使価格: 500円
   - 権利行使期間: 付与後3年~5年
   - 権利確定期間: 付与後2年(2年経過後から権利行使可能)

2. 2年後、株価が1,500円に上昇。役員Aは権利確定期間を経過したため、権利行使が可能になる。

3. 役員Aはストックオプションを行使し、1,000株を1株あたり500円で購入する(購入費用: 500円 × 1,000株 = 500,000円)。

4. 購入した株式を市場で1株あたり1,500円で売却する(売却収入: 1,500円 × 1,000株 = 1,500,000円)。

5. 利益(キャピタルゲイン): 1,500,000円 - 500,000円 = 1,000,000円
   (※税金や手数料は考慮していません)

このように、株価の上昇が期待できる企業において、ストックオプションは従業員にとって魅力的なインセンティブとなり得ます。

ストックオプションのメリット

ストックオプションは、従業員や役員に対して付与される、将来、あらかじめ定められた価格で自社の株式を購入できる権利です。これにより、企業は従業員のインセンティブを高め、長期的な視点での貢献を促すことができます。ここでは、ストックオプションがもたらす主なメリットについて掘り下げていきます。

モチベーション向上

ストックオプションは、従業員のモチベーションを大幅に向上させる強力なツールとなります。自社の株価上昇が自身の経済的利益に直結するため、従業員は会社全体の成長を自分事として捉え、より一層の貢献意欲を持つようになります。例えば、新興企業において、初期の従業員がストックオプションを行使して大きな利益を得た場合、その成功体験は他の従業員の士気を高め、組織全体の生産性向上に繋がることが期待できます。また、経営陣や幹部だけでなく、一般の従業員にも付与することで、全社的な一体感と目標達成に向けた協調性を醸成する効果も期待できるでしょう。

資産形成の可能性

ストックオプションは、従業員にとって魅力的な資産形成の手段となり得ます。付与された権利を行使し、将来的に株価が上昇した際に株式を売却することで、購入価格との差額が利益となります。例えば、1株100円で権利が付与されたストックオプションを1000株分保有しており、将来株価が1,000円になった場合、1株あたり900円、合計90万円の利益を得られる可能性があります。ただし、ストックオプションの価値は会社の業績や市場環境に左右されるため、必ずしも利益が出るとは限りません。権利行使のタイミングや税金についても理解しておくことが、賢明な資産形成には不可欠です。

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ストックオプションのデメリット

ストックオプションは、従業員や関係者にとって魅力的な報酬制度ですが、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、特に注意すべき株価変動リスクと税金に関する点を解説します。

株価変動リスク

ストックオプションの最大の魅力は、将来的に株価が上昇した場合の利益ですが、逆に株価が下落した場合には、権利を行使しても利益が得られない、あるいは損失を被るリスクがあります。例えば、権利行使価格よりも市場価格が低い場合、権利を行使する意味がありません。また、オプションには権利行使期間が定められているため、市場の低迷が長引くと、権利を失効させてしまう可能性も考慮する必要があります。この株価変動リスクは、オプションの価値を大きく左右する要因となります。

税金に関する注意点

ストックオプションには、権利行使時や売却時など、いくつかのタイミングで税金が発生します。具体的には、権利行使時には「給与所得」として、売却時には「譲渡所得」として課税されるのが一般的です。ただし、税制適格ストックオプションを選択するなど、税制上の優遇措置を受けるための条件も存在します。これらの税金の種類や計算方法、そして適用される税率などを正しく理解しておくことは、将来的な手取り額を把握する上で非常に重要です。詳細な税金の話は、後続のセクションでさらに掘り下げて解説します。

ストックオプションの種類

税制適格ストックオプション

税制適格ストックオプションは、一定の要件を満たすことで、税制優遇を受けられるストックオプション制度です。これにより、従業員は権利行使時の所得税課税が繰り延べられたり、譲渡益に対する税率が軽減されたりするメリットを享受できます。税制適格の要件としては、付与対象者、付与数量、権利行使期間、払込金額などが定められています。これらの要件をクリアすることで、企業は優秀な人材の確保・定着を図りやすくなります。

税制非適格ストックオプション

一方、税制非適格ストックオプションは、税制適格の要件を満たさないストックオプションです。この場合、権利行使時に給与所得として課税されるなど、税制適格ストックオプションと比較して税負担が大きくなる可能性があります。しかし、税制適格のような厳しい制約がないため、付与する際の自由度が高いという特徴があります。企業は、自社の状況や目的に応じて、税制適格・非適格のどちらか、あるいは両方を組み合わせた制度設計を行うことができます。

ストックオプションにかかる税金

ストックオプションは、従業員や役員に対する報酬やインセンティブとして広く利用されていますが、その行使や売却時には税金が発生します。ここでは、ストックオプションにかかる税金の計算方法と、賢く税負担を軽減するための節税対策について詳しく解説します。

税金の計算方法

ストックオプションにかかる税金は、主に権利を行使した時点(権利行使時)と、行使によって得た株式を売却した時点(株式売却時)で課税される場合があります。税金の種類としては、所得税と住民税が該当します。

権利行使時の課税

ストックオプションを権利行使し、株式を取得した際に、その株式の時価と権利行使価額との差額が給与所得として課税されます。これは、会社からの給与の一部とみなされるためです。 計算式:(権利行使時の1株あたりの時価 – 権利行使価額) × 株数 = 給与所得

具体例: 仮に、1株100円の権利行使価額で1,000株のストックオプションが付与され、権利行使時の1株あたりの時価が500円だった場合。 給与所得 = (500円 – 100円) × 1,000株 = 400,000円 この400,000円に対して、所得税・住民税が課税されます。

権利行使時給与所得 = (行使時時価 - 権利行使価額) × 株数

株式売却時の課税

権利行使によって取得した株式を売却した際には、譲渡所得として課税される場合があります。ただし、権利行使時に給与所得として課税されている場合、その給与所得に相当する部分は既に課税済みであるため、売却益からその部分を控除して計算します。 計算式:(株式売却時の1株あたりの価額 – 権利行使時の1株あたりの時価) × 株数 = 譲渡所得

具体例(上記続き): 上記例で取得した株式を1株700円で売却した場合。 譲渡所得 = (700円 – 500円) × 1,000株 = 200,000円 この200,000円に対して、株式譲渡所得として課税されます。

株式売却時譲渡所得 = (売却時価 - 行使時時価) × 株数

※税制適格ストックオプションの場合は、権利行使時の課税が繰り延べられ、売却時にまとめて課税されるなど、税制上の優遇措置が適用されることがあります。詳細は税理士にご相談ください。

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節税対策

ストックオプションにかかる税金は、特に権利行使時にまとまった金額になることがあります。しかし、いくつかの節税対策を理解し、適切に実行することで、税負担を軽減することが可能です。

税制適格ストックオプションの活用

最も基本的な節税対策は、税制適格ストックオプションの要件を満たすことです。税制適格ストックオプションとして認められると、権利行使時の給与所得としての課税が繰り延べられ、株式を売却したタイミングで、その差額(売却価額と権利行使価額の差)のみが譲渡所得として課税されます。これにより、権利行使時に一時的に多額の税金が発生するのを避けることができます。ただし、税制適格ストックオプションには、付与上限額や権利行使期間などの要件があります。

株式の長期保有

ストックオプションで取得した株式を、権利行使後も一定期間保有し、その後売却することで、譲渡所得に対する税負担を軽減できる場合があります。特に、長期で保有した株式の売却益は、短期売買よりも有利な税率が適用されるケースがあります(ただし、これは個人の所得税率や他の所得との兼ね合いによります)。また、長期保有することで、会社の成長による株価上昇の恩恵をより享受できる可能性もあります。

損益通算の検討

もしストックオプションの行使や株式売却によって損失が発生した場合、他の所得との損益通算ができないか確認することも重要です。ただし、ストックオプションによる損失は、原則として他の所得と損益通算することはできません。この点も、個別の状況によって異なるため、専門家への相談が不可欠です。

専門家への相談

ストックオプションの税務は複雑であり、個々の契約内容や会社の状況、個人の所得状況によって最適な対応が異なります。税制適格ストックオプションの要件を満たすための手続きや、将来的な税金負担を考慮した計画的な行使・売却戦略を立てるためには、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することを強くお勧めします。早期に相談することで、予期せぬ税金負担を避け、より有利な選択肢を見つけることができるでしょう。

退職時のストックオプション

ストックオプションは、従業員にとって重要なインセンティブとなり得ますが、退職する際にはその取り扱いについて特別な注意が必要です。ここでは、退職時のストックオプションに関する一般的なルールと、確認すべき事項について解説します。

退職後の取り扱い

従業員が会社を退職した場合、未行使のストックオプションの扱いは、会社の規程や権利付与契約によって大きく異なります。一般的には、退職日をもって権利が失効するケースが多いですが、一定期間内であれば権利行使が可能となる延長期間が設けられている場合もあります。この延長期間は、数ヶ月から数年まで様々です。権利を失効させないためには、退職前にご自身のストックオプションがどのような条件で扱われるのかを正確に把握しておくことが不可欠です。権利行使期間を過ぎてしまうと、たとえ価値のあるオプションであっても行使できなくなってしまいます。

注意点

退職にあたりストックオプションに関して注意すべき点は複数あります。まず、ご自身のストックオプションに関する権利付与契約書や会社の就業規則、ストックオプション規程などを、退職を決める前に十分に確認することが重要です。特に、退職後いつまでに権利行使を完了させる必要があるのか、その期限を正確に把握してください。また、会社によっては、退職理由(自己都合か会社都合かなど)によってオプションの取り扱いが変わる場合もあります。権利が失効してしまうリスクを避けるため、不明な点は人事部や担当部署に早めに確認し、必要であれば専門家(税理士など)に相談することも検討しましょう。

ストックオプションに関するQ&A

よくある質問とその回答

ストックオプションに関する、よくある質問(例:新株予約権との違い、導入企業の探し方など)とその回答をまとめます。

まとめ

この記事では、ストックオプションの基本的な仕組みから、そのメリット・デメリット、そして賢く活用するための戦略までを解説してきました。ストックオプションは、従業員のモチベーション向上や企業の成長と個人の資産形成を一致させる強力なツールとなり得ますが、その特性を十分に理解しないまま利用すると、期待通りの成果が得られない可能性もあります。改めて、ストックオプションを自身のキャリアパスや長期的な資産形成戦略にどのように組み込むことができるのか、そのポイントを整理し、読者の皆様が主体的に理解を深め、活用していくための一助となれば幸いです。自身の状況に合わせて、専門家のアドバイスも参考にしながら、最適な選択をしていきましょう。

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