決算賞与とは? わかりやすく解説! もらえる条件や支給時期、税金についても
この記事の監修者
株式会社マイビジョン代表取締役 玉田響
中小・ベンチャー企業を中心に、理念設計(MVV設計)や採用戦略の構築などを50社以上支援。経営者と伴走しながら、組織づくり・人材育成に取り組んでいる。採用媒体の活用やSNS運用アドバイスでも実績あり。
会社の業績が良かったときにもらえる「決算賞与」。
「一体どんなもの?」「自分はもらえるの?」「通常のボーナスと何が違うの?」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、決算賞与について、その意味や支給条件、金額の計算方法、税金のことなど、わかりやすく解説します。この記事を読めば、決算賞与に関する疑問や不安を解消し、賢くお金と向き合えるようになるでしょう。
目次
決算賞与とは? 基本的な意味を理解しよう
「決算賞与」という言葉を聞いたことはありますか?「決算賞与とは、一体何だろう?」と疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれませんね。この記事では、そんな決算賞与の基本的な意味について、わかりやすく解説していきます。
決算賞与とは、その名の通り、企業の会計年度(決算期)の終わりに支給される賞与のことです。一般的な夏のボーナスや冬のボーナスとは異なり、会社の業績が良かった場合に、その利益の一部を社員に還元する目的で支払われることが多いのが特徴です。
つまり、会社の業績が好調であれば、社員にもその恩恵が分け与えられる、というわけです。そのため、支給される金額は会社の業績によって変動します。業績が良ければ通常より多く支払われることもありますし、逆に業績が振るわなければ支給されない、あるいは少額になることもあります。
また、決算賞与は法律で定められた「賞与」とは少し異なり、会社の業績や個人の貢献度などに応じて、会社が任意で支給を決定できる性質を持っています。そのため、就業規則などで支給が義務付けられているわけではない場合が多いです。
このように、決算賞与は会社の頑張りを社員に還元する、いわば「頑張ったご褒美」のようなものと言えるでしょう。会社の業績と自分の給与・賞与の関係を理解する上で、決算賞与の存在を知っておくことは、とても役立つはずです。
決算賞与がもらえる条件
会社員の方が「決算賞与(けっさんしょうよ)」について調べる際、多くの方が「自分がもらえるのだろうか?」「どのような条件で支給されるのだろうか?」といった疑問をお持ちです。決算賞与は、会社の決算結果に応じて従業員に支払われる一時金ですが、その支給は会社の業績や規定に左右されるため、必ずもらえるとは限りません。ここでは、「決算賞与 もらえる人」になるための一般的な条件について、掘り下げて解説します。
会社の業績と利益目標
決算賞与が支給されるかどうかの最も基本的な条件は、会社の業績が黒字であることです。特に、決算賞与は会社の利益の一部を従業員に還元する性質が強いため、事前に設定された利益目標を達成した場合に支給されるケースが多く見られます。赤字決算となった場合や、利益目標を達成できなかった場合は、従業員への賞与支給は期待できません。会社の経営状況が、賞与支給の可否を大きく左右するのです。
従業員の在籍状況と雇用形態
「決算賞与 もらえる人」の対象となるためには、決算賞与が支払われる日(通常は決算期後数ヶ月以内)に会社に在籍していることが必須となる場合がほとんどです。期中に退職した人は対象外となるケースが多いです。また、正社員だけでなく、契約社員、パート・アルバイトといった雇用形態によっても支給の有無や条件が異なる場合があります。会社の就業規則や賃金規程で、どの雇用形態の従業員が対象となるかを確認する必要があります。
個人の業績や貢献度
決算賞与は会社の業績に連動する側面が強いですが、一部の企業では、個人の業績や会社への貢献度も加味して支給額が決定されることもあります。しかし、これは一般的な定期賞与やインセンティブとは異なり、決算賞与においては個人の評価が重視されないケースも多く、あくまで会社の全体的な成果が優先される傾向にあります。個人の頑張りだけでなく、チームや会社全体の貢献が評価される制度と言えます。
会社の規定と判断による「支給条件」
最終的に、決算賞与の支給の有無やその詳細な「支給条件」は、各会社の就業規則、賃金規程、および経営判断によって決定されます。会社によっては、利益が出ても業績への再投資を優先し、賞与を支給しないという選択をすることもあります。そのため、ご自身の会社の具体的な条件については、社内規定を確認するか、人事・総務部門に問い合わせることが最も確実な方法です。どのような場合に支給され、いくらもらえるのかは、会社ごとのルールに従います。
決算賞与の支給時期と金額
決算賞与について、「いつ支給されるのか」「いくらもらえるのか」は、多くの従業員が気になる点でしょう。このセクションでは、決算賞与の一般的な支給時期と、金額がどのように決定され、計算されるのかを詳しく解説します。
決算賞与の支給時期
決算賞与の支給時期は、企業の決算期によって大きく異なります。一般的には、企業の会計年度末(決算期)の数ヶ月後に支給されることが多いです。例えば、3月決算の企業であれば、6月~8月頃に支給されるケースが見られます。
ただし、決算賞与は会社の業績に応じて支給される「臨時的な賞与」であるため、支給時期が法的に定められているわけではありません。そのため、企業によっては決算期から大きく遅れて支給されたり、業績が著しく悪かった場合には支給されなかったりすることもあります。従業員としては、就業規則や会社の発表を確認することが重要です。
決算賞与の支給額の決定方法・計算方法
決算賞与の支給額は、会社の業績や個人の貢献度など、複数の要素を考慮して決定されます。そのため、一律の計算方法があるわけではなく、各企業が独自の規定に基づいて算定します。
一般的な決定要素としては、以下のものが挙げられます。
- 会社の業績: 当期の会社の純利益や売上目標達成度などが、支給総額の原資となります。
- 個人の評価: 従業員一人ひとりの人事評価や、所属部署の業績、個人の貢献度などが考慮されます。
- 役職・等級: 役職や等級によって、支給基準額が異なる場合があります。
- 勤続年数: 勤続年数に応じて、金額が加算されることもあります。
決算賞与 計算方法の例としては、まず会社全体の業績目標達成度に応じて、支給総額の原資が決まります。次に、その原資を各従業員に配分するために、個人の評価や等級などを考慮した係数を掛けて算出する方法が考えられます。
例えば、以下のような計算式が考えられます。
支給額 = (基本支給額 × 業績連動係数) × 個人評価係数 × 等級係数
ここで、「基本支給額」は個人の給与や等級に基づいて設定され、「業績連動係数」は会社の業績目標達成度によって変動します。「個人評価係数」は個人の人事評価、「等級係数」は役職や等級によって定められます。
決算賞与の計算例
以下に、具体的な計算例を示します。
前提条件:
- 会社全体の業績目標達成度:120%
- 基本支給額(個人の給与や等級に基づく):30万円
- 業績連動係数:会社の業績目標達成度に応じて設定(例:目標達成度100%で1.0、120%で1.2)
- 個人評価係数:S評価(1.2)、A評価(1.0)、B評価(0.8)
- 等級係数:一般社員(1.0)、主任(1.1)、課長(1.3)
ケース1:A評価で一般社員の場合 支給額 = (30万円 × 1.2) × 1.0 × 1.0 = 36万円
ケース2:S評価で主任の場合 支給額 = (30万円 × 1.2) × 1.2 × 1.1 = 47.52万円
※上記はあくまで一例であり、実際の計算方法は企業によって異なります。ご自身の会社の規定をご確認ください。
通常の賞与との違い
「決算賞与」という言葉を聞くと、「通常の賞与(夏や冬に支給されるもの)と何が違うのだろう?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。これは、多くの人が抱える共通の疑問であり、決算賞与の性質を理解する上で非常に重要です。決算賞与と通常の賞与は、支給されるタイミングや計算方法、そしてその性質において明確な違いがあります。このセクションでは、両者の違いを比較し、それぞれの特徴を分かりやすく解説します。
決算賞与と通常の賞与の主な違い
決算賞与と通常の賞与(期末賞与など)の主な違いを以下の表にまとめました。この比較表を見ることで、両者の違いが一目で理解できるはずです。
項目 | 決算賞与 | 通常の賞与(期末賞与など) |
---|---|---|
定義 | 決算時に会社の業績に応じて支給される一時金 | 夏や冬などに支給される、定期的な賞与 |
支給タイミング | 決算日後、原則として1ヶ月以内 | 夏賞与は6月~7月頃、冬季賞与は12月~1月頃など |
計算根拠 | 当期純利益など、決算時の会社の業績 | 基本給、在籍期間、個人の成績など |
法的性格 | 功労報償金(一時金)としての性質が強い | 労働の対価としての賃金の一部としての性質が強い |
業績連動性 | 高い(会社の業績に直接連動することが多い) | 比較的低い(個人の成績も反映される場合がある) |
支給条件 | 会社の業績と個人の貢献度(会社が任意で決定) | 会社の業績と個人の貢献度(就業規則等で定められることが多い) |
違いのポイント
表から分かるように、決算賞与の最大の特徴は、その支給が「会社の業績」に直接的に結びついている点です。業績が良ければ高額になり、悪ければ支給されない、あるいは減額されるという、いわば「成果報酬」としての性格が強いと言えます。一方、通常の賞与は、労働の対価としての賃金の一部とみなされることが多く、会社の業績だけでなく、個人の勤務態度や貢献度なども考慮されて支給されるのが一般的です。また、支給される時期も、決算賞与は決算後という特定のタイミングであるのに対し、通常の賞与は夏季・冬季といった定期的な時期に支給されるという違いがあります。これらの違いを理解することで、決算賞与がどのように評価され、どのように活用されているのかがより明確になるでしょう。
決算賞与にかかる税金と社会保険料
決算賞与を受け取る際、多くの人が気になるのは「手取りはいくらになるのか」「税金や社会保険料はどれくらい引かれるのか」といった点でしょう。決算賞与は給与所得とは異なり、支給のタイミングや金額が不定期なため、税金や社会保険料の計算方法についても疑問が生じやすいものです。ここでは、決算賞与にかかる税金と社会保険料について、基本から分かりやすく解説します。
所得税・住民税について
決算賞与は、原則として給与所得と同様に所得税・住民税の課税対象となります。ただし、支給方法によっては源泉徴収される税額が一時的に高くなることもあります。
給与所得に対する税金は、毎月の給与から源泉徴収されるのが一般的ですが、決算賞与のような臨時の賞与についても、支給時に所得税(国税)と住民税(地方税)が源泉徴収されます。
所得税の計算においては、賞与額から社会保険料控除額(賞与から控除される社会保険料の額)などを差し引き、さらに「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に基づいて計算された税額が源泉徴収されます。この算出率の表は、扶養親族の数などによって変動します。
住民税については、前年の所得に基づいて計算された年税額を12分割して毎月給与から天引きされますが、決算賞与から特別に徴収されることは原則としてありません。ただし、住民税の税額算定の基礎となる所得には決算賞与も含まれます。
税金計算の例
ここでは、例として年税率(所得税・住民税の合計)を仮定して、決算賞与にかかる税金の計算例を示します。
【前提条件】
・決算賞与支給額:500,000円
・社会保険料控除額:50,000円(仮定)
・賞与から控除される所得税の計算に用いる税率:10%(扶養親族等の状況により変動)
【計算】
1. 賞与から控除される社会保険料額を差し引く
500,000円 - 50,000円 = 450,000円
2. 所得税の源泉徴収税額を計算する
450,000円 × 10% = 45,000円 (所得税額)
3. 住民税について
住民税は、前年の所得に基づいて計算されるため、通常、決算賞与から直接天引きされることはありません。
ただし、この賞与額は来年度の住民税算定の基礎所得に含まれます。
【手取り額の目安】
500,000円(賞与額) - 50,000円(社会保険料控除) - 45,000円(所得税) = 405,000円
※上記はあくまで簡易的な計算例です。実際の税額は、個人の所得状況、扶養家族の有無、会社が採用する税率計算方法などにより異なります。
社会保険料への影響
決算賞与は、原則として社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料)の標準報酬月額の算定基礎には含まれません。そのため、決算賞与が支給された月の社会保険料が直接的に増額されることはありません。
しかし、会社によっては、決算賞与を賞与の総額として把握し、翌年度の標準報酬月額を決定する際の参考にする場合があります。特に、算定基礎届(毎年7月1日時点の状況を基に、9月から適用される標準報酬月額を決定するための書類)を提出する時期に近いタイミングで高額な決算賞与が支給された場合、翌年度の社会保険料に影響を与える可能性があります。
また、上限額(賞与の総額が1ヶ月あたり150万円を超える場合、その超える部分については保険料がかからない)や、社会保険料控除の対象となる社会保険料額の計算方法についても理解しておくことが重要です。
決算賞与のメリット・デメリット
決算賞与は、企業の業績に応じて従業員に支給される賞与です。一般的な賞与とは異なり、その支給額や支給の有無は企業のその期の決算結果に大きく左右されます。ここでは、決算賞与を導入する際の企業側と従業員側の双方におけるメリットとデメリットを解説します。
企業側のメリット・デメリット
企業が決算賞与を導入することには、いくつかのメリットとデメリットが存在します。
メリット:
- 従業員のモチベーション向上: 会社の業績が良ければ賞与が増えるという仕組みは、従業員の仕事への意欲を高め、業績向上への貢献を促します。
- 人材の確保・定着: 業績連動型の賞与は、優秀な人材にとって魅力的な報酬となり、離職率の低下に繋がる可能性があります。
- 柔軟なコスト管理: 賞与の原資を業績に連動させることで、企業の財政状況に合わせて賞与額を調整しやすく、人件費の変動リスクを抑えられます。
- 経営状況の共有: 決算賞与 メリットとして、従業員と会社の業績を共有し、一体感を醸成する機会となります。
デメリット:
- 業績悪化時の負担: 業績が振るわなかった場合でも、従業員の期待に応えられず、モチベーション低下を招く可能性があります。
- 支給額の判断・計算の煩雑さ: 支給基準や計算方法の設定、従業員への説明などが複雑になる場合があります。
- 過度な期待の発生: 毎年一定額が支給されると誤解され、業績に関わらず支給を期待されるリスクがあります。
従業員側のメリット・デメリット
従業員にとっても、決算賞与には魅力と注意すべき点があります。
メリット:
- 臨時収入の増加: 会社の業績が好調な年には、予想以上の収入を得られる可能性があります。
- 貢献の評価: 自身の仕事が会社の業績に繋がり、それが賞与として還元されることは、やりがいや貢献の実感に繋がります。決算賞与 メリットとして、努力が報われる感覚を得られます。
- 生活設計の助け: 臨時収入として、貯蓄や自己投資、あるいは一時的な支出に充てることができます。
デメリット:
- 支給額の不確実性: 決算賞与 デメリットとして、会社の業績に左右されるため、毎年必ず支給されるとは限らず、支給額も変動します。計画的な支出が難しい場合があります。
- 税金・社会保険料の負担: 賞与は給与所得とは別に、源泉徴収され、社会保険料の計算にも影響します。
- 期待との乖離: 期待していた支給額に満たない場合、落胆や不満に繋がる可能性があります。
決算賞与に関する注意点
決算賞与について、多くの人が関心を寄せるのは「いくらもらえるのか」「いつ支払われるのか」といった点でしょう。しかし、その前に理解しておくべき最も重要な注意点があります。それは、企業の業績に連動するため、「必ずしも支給されるとは限らない」という事実です。会社の業績が目標を達成できなかったり、赤字であったりすれば、決算賞与は支給されない可能性があります。この「もらえない場合もある」という点は、読者の皆様が抱える根本的な疑問であり、不安材料となり得ます。しかし、これは決算賞与の性質上、当然のこととして受け止める必要があります。過度な期待はせず、あくまで会社の業績次第であるという冷静な認識を持つことが大切です。
さらに、決算賞与の支給対象者や支給時期、算定方法といった具体的な条件は、会社によって大きく異なります。例えば、正社員のみが対象となる場合もあれば、契約社員やパート・アルバイトにも支給されるケースもあります。また、支給される時期も、年度末直前であったり、年度末から数ヶ月後であったりするなど、企業ごとにまちまちです。
これらの詳細な条件については、ご自身の会社の「就業規則」や「賃金規程」を確認することが最も確実な方法です。もし不明な点があれば、遠慮なく人事部や総務部などの担当部署に直接問い合わせることをお勧めします。決算賞与は、会社と従業員が共に努力した成果を分かち合うための制度ですが、その支給条件や内容は一律ではないことを常に念頭に置いておきましょう。
まとめ:決算賞与について理解を深めよう
この記事では、決算賞与について、その定義から支給条件、時期、金額の決定方法、税金、そしてメリット・デメリットに至るまで、多角的に解説してきました。決算賞与は会社の業績に応じて支給される一時金であり、従業員のモチベーション向上や会社への貢献意欲を高める効果が期待できます。しかし、その支給額やタイミングは会社の業績に左右されるため、予測が難しい側面もあります。
今回解説した内容を振り返ることで、読者の皆様が決算賞与に関する疑問や不安を解消し、ご自身の給与体系や会社の業績に対する理解をより一層深める一助となれば幸いです。決算賞与を正しく理解し、今後の給与や会社の状況を把握する上で、この記事が皆様の有益な情報源となることを願っています。