MVVはなぜ必要?それぞれの設定目的について徹底解説!

今回は「MVVなぜ必要」というテーマを深掘りします。企業にとって不可欠とされるミッション・ビジョン・バリューについて、具体的な目的や策定手順を含め、わかりやすく解説します。最後までご覧ください。

MVVとは?

まずはMVVの概要を押さえましょう。MVVとは、MISSION(ミッション)、VISION(ビジョン)、VALUE(バリュー)の略称のことをいいます。ミッション・ビジョン・バリューを明確にしておくと、新たな意思決定の場面や難しい局面でも判断軸を共有しやすくなるメリットがあります。それではMission・Vision・Valueそれぞれの定義や、企業理念との違いについて深く見ていきましょう。
ミッション(Mission)
ミッションは「企業や組織が存在する理由」を示すものです。具体的には「何を目指し、誰のために、どう貢献するのか」という観点で考えます。例えば「この社会課題を解決するために、当社はどのような方法で貢献するか」といった形で整理するとわかりやすくなります。
またミッションは、企業内部に限らずステークホルダー全般に向けて「どんな価値を提供していくか」を明確に打ち出すものです。社員はミッションを理解することで、自分の業務が社会や顧客へどう役立つのかを感じ取りやすくなります。これはモチベーション向上や組織の結束に直結し、企業活動の基盤となる重要な要素といえます。
ビジョン(Vision)
ビジョンは「将来的に企業や組織が目指す姿や方向性」を示すものです。長期的な未来像を描き、そこに向かうための道筋を明確化します。今どれだけ困難があっても、このビジョンを達成した先には大きな理想や成果が待っているというイメージを、全員が共有することが大切です。
企業がビジョンを掲げる利点は、長期的な経営戦略を策定しやすくなることに加え、チームの士気を高めやすい点にもあります。具体的に将来のゴールを示すことで、社員一人ひとりが自ら考え行動し、組織が一丸となって難局に挑めるようになります。
目標が曖昧だと日常業務に追われがちですが、ビジョンを見据えて仕事に取り組むことで、「なぜこの業務を行うか」を再確認しながらモチベーションを維持できます。
バリュー(Value)
バリューは「企業が守るべき価値観・行動指針」を示します。社員が日々の業務を通して、どのような考え方や態度で取り組むかを定義することで、組織全体の文化や風土を形成します。
例えば「常に挑戦を恐れず、新しい価値創造にチャレンジする」「互いを尊重し、高め合うチームワークを重視する」といった行動基準を明文化しておくと、組織の一貫性が高まります。
加えて、採用活動の際にもバリューを明確に伝えることで、自社の風土にマッチする人材を獲得しやすくなる効果も期待できます。バリューを共有できる人材が集まれば、結果的に離職率低下や顧客満足度向上にもつながるでしょう。
企業理念や経営理念との違い
企業理念(または経営理念)は、事業を行ううえで企業として大切にしたい考え方を総称したものです。具体的には「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を全体としてまとめた概念といえます。つまり、経営理念=MVVという位置付けです。
ここで注意したいのは、ビジョンだけを切り出して企業理念と誤解してしまうケースです。正確には、企業が果たすべき使命(ミッション)を軸に、将来の方向性(ビジョン)を示し、その行動基準(バリュー)を明文化したものが経営理念と呼ばれます。企業理念がしっかり定義されているかどうかは、社員や利害関係者の信頼構築に大きく影響します。
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MVVはなぜ必要?①MISSION(ミッション)の設定目的

ミッションは「組織の存在意義」を明らかにするものですが、これを設定する目的は多岐にわたります。ここでは代表的な五つを挙げ、わかりやすく説明します。
1. 方向性の明確化
ミッションは、企業や組織が何を達成しようとしているのかを明確に示すものです。これにより、全ての社員が同じ目標に向かって努力することができ、一体感が生まれます。また、経営戦略や日々の業務の方向性を決定する際の指針となります。
2. モチベーションの向上
明確なミッションがあると、各社員は「自分の仕事が組織や社会にどう役立つか」を認識しやすくなります。特に若い世代は、仕事に意義を求める人が増えているため、ミッションを共有している企業ほど、社員のモチベーションを継続的に高められる傾向があります。
3. 企業文化の形成
ミッションを軸に社員が行動することで、企業独自の文化が育ちやすくなります。意思決定や行動指針をミッションに照らして判断するため、組織全体が同じ方向性で動きやすくなるのです。結果として、社風や価値観の一貫性が保たれます。
4. ステークホルダーとの関係強化
企業のミッションは、顧客や取引先、投資家などのステークホルダーに対して企業の姿勢や目指す方向性を伝える重要な手段です。明確なミッションを持つことで、ステークホルダーとの信頼関係を築きやすくなり、企業のブランド価値が向上します。
5. 持続可能な成長の基盤
ミッションは長期的な視点で企業の成長を支える基盤となります。変化の激しいビジネス環境の中でも、ミッションを軸に据えることで、一貫した戦略を持ち続け、持続可能な成長を実現しやすくなります。
MVVはなぜ必要?②VISION(ビジョン)の設定目的

ビジョンは「将来的に企業がどうありたいか」を描くものです。ここではビジョン設定の目的を六つに分けて解説していきます。
1. 方向性の提示
ビジョンは企業が将来的にどのような姿を目指すのかを明確に示します。これにより、社員やステークホルダーが企業の目指す方向を理解し、共通の目標に向かって努力することができます。
2. モチベーションの向上
明確なビジョンを持つことで、社員は自分たちの仕事が企業の将来にどう貢献するかを理解しやすくなります。これにより、日々の業務に対する意欲ややりがいが増し、社員のモチベーションが向上します。
3. 経営戦略の基盤
ビジョンに沿って戦略を立案すれば、一貫性のある経営が期待できます。たとえば新規事業の検討時やリブランディングの際、ビジョンを起点にすれば、企業の根幹をぶれさせることなく意思決定を進められます。
4. ステークホルダーとの信頼関係の構築
ビジョンは企業の未来像を示すことで、顧客や取引先、投資家などのステークホルダーに対して信頼感を与えます。明確なビジョンを持つ企業は、長期的な視点での協力関係を築きやすく、ステークホルダーとの信頼関係を強化することができます。
5. 企業ブランドの強化
ビジョンは企業のブランドイメージを形成する重要な要素です。未来に向かって進む姿勢や目標を明確に示すことで、ブランド価値を向上させることができます。また、ビジョンに共感する顧客やパートナーを引きつける力もあります。
6. 持続可能な成長の促進
ビジョンは企業が持続可能な成長を実現するための指針です。長期的な視点での目標設定により、短期的な利益追求にとどまらず、持続的な発展を目指すことができます。これにより、企業は社会的責任を果たしながら成長することが可能です。
MVVはなぜ必要?③VALUE(バリュー)の設定目的

バリューは行動規範や企業文化を言語化したものです。社員全員が同じ価値観や行動基準を共有することで、組織力を強化できます。ここではバリューの設定目的を六つ紹介します。
1. 行動基準の明確化
バリューは企業の行動規範や価値観を明確に示すため、社員がどのように行動すべきかの指針となります。これにより、社員が判断に迷ったときや困難な状況に直面したときに、どのような行動をとるべきかを判断しやすくなるでしょう。
2. 一貫性の確保
バリューを設定し社内に浸透させると、サービス提供や顧客対応、経営判断など、あらゆる活動に一貫性が生まれます。同じ価値観を共有しているので、業務プロセスや顧客への姿勢などがブレにくくなります。
3. 企業文化の強化
長期的に見ると、バリューが企業文化そのものを形成します。社員同士が同じ価値観を共有していると、コミュニケーションもスムーズになり、互いを尊重し合う風土が醸成されます。結果的にチームワークが高まり、生産性も上がりやすくなります。
4. リクルートメントの効果向上
バリューが定まっている企業は、採用時に「うちの会社はこういった価値観を重視しています」と明確に伝えられます。求職者が自分と合うかどうかを判断しやすくなり、ミスマッチの減少や早期退職の防止にも役立ちます。
5. ブランド価値の向上
バリューは企業のブランドイメージを形成する重要な要素です。顧客や取引先、投資家などのステークホルダーは、企業の価値観や行動に基づいてその企業を評価します。つまり明確で強固なバリューを持つ企業は、信頼性や誠実さを感じさせ、ブランド価値の向上につながります。
6. 持続可能な経営の実現
バリューは長期的な視点で持続可能な経営を支える基盤となります。企業がどのような状況においても一貫した価値観に基づいて行動することで、持続可能な成長や社会的責任の遂行が可能です。
このように、会社がバリューを設定することは、社員の行動基準を明確にし、企業活動に一貫性を持たせ、企業文化を強化し、適切な人材を引き付け、ブランド価値を向上させ、持続可能な経営を実現するために重要な役割を果たします。
MVVの策定手順
ここまでMVVそれぞれの設定目的を見てきましたが、実際に策定する際の大まかな流れも把握しておくとスムーズです。企業や組織の現状に合わせつつ、以下のようなステップで検討を進めます。
①自社の整理
最初に行うべきは、自社が現在どんな事業を行っており、どんな強みや課題を抱えているかを明確化することです。たとえば「顧客層はどこか」「競合との違いは何か」「社員はどんな想いを抱いているか」などを整理していきましょう。
この段階で経営者や幹部、主要メンバーが集まり、現場の声と経営側の考えをすり合わせると良いです。曖昧な部分や認識が異なる点があると、後のステップで混乱を招くため、ここでしっかり現状を把握することが重要になります。
②分析
自社の現状を整理できたら、外部環境や市場動向、社会課題の把握を含めた分析を行います。社会的にどんなニーズが高まっているのか、今後どんな変化が予測されるのかといった情報を収集して、ミッション・ビジョン・バリューを設計するための材料とします。
ここではSWOT分析やPEST分析などのフレームワークを使うと効率的です。これらの分析を踏まえて、自社ならではの使命や、目指すべき理想像、重視する価値観を検討します。社内外の意見やデータをしっかり取り込みながら、具体的な言葉に落とし込んでいく作業が必要です。
③浸透
策定したMVVを、社員をはじめステークホルダーに浸透させる段階です。単に文書化して配布するだけではなく、研修や説明会を通じて繰り返し共有し、経営者やリーダーが率先して体現していくことが不可欠になります。
社内報やSNS、定期的なイベントなど、さまざまな手段を使ってMVVを伝え続けることが大切です。特に新入社員や中途入社のスタッフに向けては、初期段階でMVVをしっかり説明し、行動規範や会社の使命を理解してもらう仕組みを整えると効果的でしょう。
MVVを浸透させるためのポイント
せっかく策定したMVVも、周知や継続的な実践がなければ形骸化してしまいます。そこで、ここでは社内外にMVVを浸透させる際に意識したい三つのポイントを紹介します。
一貫性をもたせる
MVVの内容と現場の行動、トップの言動などに食い違いがあると信憑性が損なわれてしまいます。経営層や管理職が率先してMVVに沿った行動を示し、評価制度や組織運営の仕組み、採用活動などに至るまで一貫性を持たせるようにしましょう。
たとえばバリューで「チャレンジ精神」を掲げているなら、実際に挑戦した社員を正当に評価する取り組みが必要です。こうした一貫性があることで、社員はMVVを自分ごととして受け止めやすくなります。
中長期的に発信する
MVVは一度社内向けに発表して終わりではなく、社外にも定期的にアピールしていくことが大切です。ウェブサイトやSNS、プレスリリース、採用ページなど、さまざまな場面でメッセージを発信し続けましょう。
このように継続的に情報発信を行うことで、社内に対しては「ブレない企業文化」を再確認させ、社外に対しては「何を目指し、どう行動している組織か」をはっきり示すことができます。繰り返し接触することで、自然に共感者やファンが増えていくのです。
経営陣が発信する
経営層が自らの言葉でMVVについて語り、行動で示すことは非常に重要です。代表や役員が率先してメッセージを発信すると、社員やステークホルダーの理解と納得を得やすくなります。
社内のイベントや朝礼、SNSなどを活用し「この行動は弊社のバリューに当てはまる」という具体的な事例を紹介していくと、より自社の理念が根付いていきます。経営陣の行動とMVVが一致している姿を見ることで、社員は「理念が本当に大事にされている」と感じるはずです。
まとめ

本記事では、MVVとは何か、なぜ必要かをMission・Vision・Valueの観点から説明し、それぞれの設定目的や策定手順、浸透のポイントを解説しました。明確なMVVを定めて社内外に浸透させることで、組織の方向性をぶれさせず、社員のモチベーションやブランド価値の向上を期待できます。
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