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【製造・建設業向け】第2創業期・事業承継の組織変革ガイド

「親父の代から支えてくれている古参社員と、どう向き合えばいいのかわからない」 「新しい評価制度を入れようとしたら、『現場を知らない二代目が余計なことをするな』と反発された」

製造業や建設業のアトツギ社長の皆様、一人でそんな悩みを抱えていませんか? 先代が築き上げた歴史を尊重しつつ、時代に合わせた変革を起こしたい。しかし、現場の職人衆やベテラン社員との間には、目に見えない高い壁がある。

こんにちは、株式会社マイビジョンの玉田響です。 これまで多くの事業承継の現場に立ち会ってきた私から断言させてください。その「壁」を壊し、古参社員を最強の味方に変える鍵は、数字や管理ルールではなく、あなた自身の「魂の叫び(理念)」にあります。

アトツギ(2代目社長)が直面する「見えない壁」と古参社員の反発

事業承継後の組織変革において、なぜ多くの2代目社長が挫折してしまうのでしょうか。

「社長が変わって会社がおかしくなった」と言われる理由

組織を近代化しようと良かれと思って導入した「新しい評価制度」。これが、実は火種になります。

  • 後出しのルールは不満の元: 「どうやったら給料が上がるのか」という基準が不明確なまま制度だけを導入すると、社員は「会社に管理される」「損をする」と警戒します。
  • 古参社員を評価する「恐怖」: 自分より社歴が長く、現場を熟知しているベテランを評価するのは勇気がいります。しかし、評価を避けることは、社員に対して最も不誠実な行為です。正当に評価されない優秀な若手から辞めていく、組織崩壊の引き金になります。
  • 背負っている責任のギャップ: 社長は数億円の借入金の個人保証を背負い、孤独な決断を繰り返しています。この「重みの差」を言葉にせず進むと、幹部との間に決定的な不信感が生まれます。

特に製造・建設業においては、「技は盗んで覚えるもの」「背中で語る」という職人気質が根強い業界です。そのため、言語化されない「評価」や「責任」の所在は、ベテラン社員にとって「俺たちのこれまでの苦労を無視している」という誤解を招きやすく、感情的な対立に発展しやすい傾向にあります。

先代のやり方を無理に変えようとすると失敗する

大企業の真似をして細かすぎるプロセス評価を導入しても、リソースの限られた中小企業では運用しきれず破綻します。 また、厳格すぎる管理マネジメントを急に入れると、「ルール以外のことはやらない」「現場での気の利いた助け合いが消える」という副作用を招きます。

特に製造・建設業においては、現場は常に想定外のトラブル(天候不順や図面外の事象)との戦いです。ルールでガチガチに縛りすぎると、現場の「阿吽の呼吸」や「臨機応変な職人技」が死んでしまい、結果として納期遅延や品質低下を招く恐れがあります。

古参社員を味方につける「理念の再解釈」とは?

古参社員が反発するのは、あなたが「嫌い」だからではありません。会社が変わることで、自分たちが守ってきた「誇り」が失われるのが怖いのです。

創業の精神(ルーツ)を現代版にアップデートする

新しい理念は、ゼロから作るものではありません。まず「なぜ先代はこの会社を興したのか?」を3段階で深掘りし、社長自身の原体験(過去の葛藤や苦労)と掛け合わせることで、会社のブランドを現代版に再定義します。

特に製造・建設業においては、長年愛されてきた「屋号」や「社名」には、先代の強烈なこだわりが詰まっています。「昔のやり方は古い」と切り捨てるのではなく、そのルーツにある「ものづくりへの執念」を掘り起こし、現代の価値観で磨き上げることが、ベテラン勢の納得感を引き出す唯一の道です。

社長一人のトップダウンではなく、ボトムアップで言葉を作る

「世の中をクリエイトする」といった借り物の横文字は、現場には1ミリも響きません。全社員へのアンケートや1on1を実施し、現場の職人が大切にしているこだわりや価値観を吸い上げてください。

特に製造・建設業においては、現場の第一線で汗を流す職人たちの中にこそ、会社の「強み」や「守るべき精神」が眠っています。彼らを巻き込み、無礼講で議論するプロセスを経ることで、「社長が決めた理念」ではなく「俺たちが守るべき理念」へと変わるのです。

では、具体的にどのような質問や問いかけをすれば、職人の価値観を知ることができるのか。

彼らの心を開くには、理念という言葉を一度脇に置き、彼らの「こだわり」や「自負」を主役にした問いかけが効果的です。

面談や、時には仕事終わりの少しリラックスした場(飲み会など)で、以下のようなステップで対話を広げてみてください。

1. 「過去の貢献」を承認し、リスペクトを伝える

まずは、彼らが会社を支えてきたという事実に最大限の敬意を払うことから始めます。

  • 「〇〇さん、今のうちがあるのは間違いなく〇〇さんが現場を回し続けてくれたおかげです。正直、私一人では今の会社は守りきれません。だからこそ、現場の知恵を貸してほしいんです。」

2. 「プロとしての自負(バリューの種)」を聞き出す

抽象的な「理念」ではなく、現場での「具体的なこだわり」を問いかけます。

  • 「〇〇さんがこの20年、現場でこれだけは絶対に譲れない、これだけは守り抜いてきたっていう『流儀』って何ですか? 後輩たちにこれだけは絶対に身につけてほしいと思うことを教えてください。」

3. 「不満」を「期待」に反転させる

現状の課題について話が及んだとき、それを組織変革のヒントに繋げます。

  • 「今の会社、〇〇さんから見て『もっとこうなればいいのに』『ここがもったいない』と感じる部分はどこですか? 〇〇さんが一番働きやすくて、誇りに思える会社にするために、私にできることは何でしょうか?」

4. 「未来の約束」で締めくくる

対話の最後には、必ず経営者としての覚悟を伝えます。

  • 「今日聴かせてもらったこだわりこそが、この会社の新しい指針(理念)の核になるべきだと確信しました。それをただの言葉で終わらせず、〇〇さんたちが報われる『評価制度』という仕組みに変えていきます。本気でやるので、これからも背中を見せてください。」

逆に、以下のような言葉や態度は、長年会社を支えてきた彼らのプライドを深く傷つけ、組織変革の道を完全に閉ざしてしまいます。

1. 過去の全否定

NGワード:「昔のやり方は古いです。これからは効率化が必要です」

ベテランにとって「昔のやり方」とは、会社が苦しい時期を乗り越えてきた「成功体験」そのものです。それを「古い」の一言で片付けることは、彼らの人生そのものを否定するのと同義です。

2. 数字(定量)のみによる管理の押し付け

NGワード:「感覚ではなく、すべて数字で根拠を出してください」

長年の経験で培われた「勘」や「阿吽の呼吸」は、製造・建設業において重要な無形資産です。それらを無視して「数字がすべて」というドライな正論を突きつけると、「現場を知らない若造が理屈を並べている」という猛烈な反発を生みます。

3. 外部コンサルや他社の「借り物」の言葉

NGワード:「他社ではこれが当たり前です」「コンサルの先生がこう言っています」

古参社員が最も嫌うのは、どこかで聞きかじったような「よそ様の理屈」です。経営者自身の言葉ではなく、外部の権威を後ろ盾にして説得しようとする姿勢は、「自分の言葉で語る覚悟がない」と見透かされます。

4. 現場を介さない一方的なルール変更

NGアクション:現場の意見を一度も聞かずに、新しいシステムや制度を導入する

「今日からこのアプリで日報をつけてください」「新しい評価制度に変えました」という事後報告は、最悪のアクションです。彼らにとって、自分たちが「意思決定から除外された」と感じることは、組織内での存在意義を失うことに等しいからです。

以上のような点に留意して、理念の再解釈を進めてみてください。

対立から共創へ!組織が一つになる新理念導入の進め方

現場リーダーに「会社の未来」を語らせる場の作り方

離職率を下げ、組織を一つにする最大の秘策。それは「オフサイトミーティング」です。 非日常的な空間でお酒を交わしながら、未来を語り合ってください。ここで社長が自身の「孤独」や「不安」をさらけ出すことで、幹部との距離は劇的に縮まります。

特に製造・建設業においては、普段は寡黙な職人リーダーも、現場を離れたリラックスした環境であれば、内に秘めた「会社への愛着」や「後輩への想い」を語ってくれるものです。この「本音の共鳴」こそが、製造・建設現場における最強のチームワークを再構築します。

ここでは弊社が行っている理念再構築ワークショップの具体的なスケジュールを紹介します。(参加人数やスケジュールによって柔軟に内容を変更しながら行なっています。)

短時間で「本音」を引き出し、理念の核となる「共通言語」を見つけるための構成です。

時間セッション名内容・目的
13:00-13:30チェックイン・趣旨説明経営者の原体験(なぜこの会社を作ったか)を熱く語り、心理的安全性を確保する。
13:30-14:30Good & New / 価値観の共有「仕事をしていて最高に嬉しかった瞬間」を小グループで共有。組織の「強みの種」を見つける。
14:40-15:40理想と現実のギャップ抽出「3年後の理想の会社」と「今の会社で絶対に変えたいこと」を付箋で出し合い、課題を可視化する。
15:50-16:50バリュー案(行動指針)の言語化「理想の会社を作るために、私たちは明日からどう動くべきか?」を議論し、行動ベースの言葉を作る。
16:50-17:00チェックアウト全員が一言ずつ感想を共有。明日からの「第一歩」を宣言して終了。

もし時間に余裕があるなら、コテージなどの宿泊できる施設でこれを行い、その夜は全員で美味しいものを楽しみながら語り合うなどすると、より本音が聞き出せます。

またベンチャー・中小企業のワークショップでは「社長の顔色を伺う」空気をいかに打破するかが鍵となります。

ですので、社員からうまく意見を引き出すためのファシリテーションのコツとして下記を意識してみてください。

  • 「正解を求めない」ことを強調する: 「会社の正解を当てるクイズではない。あなたの『違和感』や『想い』こそが、新しい理念の材料になる」と何度も伝えます。
  • 「全否定OK」のルールを作る: 「今の理念のここが嫌い、という意見を一番歓迎します」と宣言し、ネガティブな意見から本質的な課題を抽出します。
  • 「沈黙」を恐れない: 問いかけの後、1分ほど沈黙が続いても待ってください。深い思考には時間が必要です。

ルール(制度)を押し付ける前に、まず「想い」をグリップする

就業規則も人事評価制度も、すべては「理念」という根っこから生える枝葉です。制度化を急ぐ前に、まずは幹部と徹底的に話し合い、「この理念のために、俺たちはこの会社をやるんだ」と完全に腑に落ちる状態を作ってください。

特に製造・建設業においては、「安全第一」や「工期厳守」といった当たり前の基準の裏側にある「なぜ我々はそれを大切にするのか」という思想を、まず幹部と握り合う必要があります。ここがズレたまま無理に新しいルールを現場に流せば、ベテラン社員による「現場でのボイコット」が起きかねません。

古参社員の意識が変わり自走し始めた事例紹介

【事例1】合資会社名上鈑金工業所様(愛知県あま市)

娘婿として家業を継いだ水野さんの事例。理念設計を通じて経営へのモチベーションが爆発。古参リーダー陣から「水野さん、何か思うことがあればもっと意見を出しちゃって大丈夫ですよ!みんなで作り上げましょう!」と声をかけられるほど、強固な信頼関係が築かれました。

【事例2】三栄工業株式会社様など、建設会社の事例

まさに第二創業期という大きな転換期に、マイビジョンの支援で理念と評価制度を再構築されました。代表の軽部様は、建設業界の「2024年問題」や組織改革への対応を迫られる中で、「何をもとに判断すれば良いか不明確」という課題を抱えられていました。

約6ヶ月のワークを通じ、上下関係を取り払って議論し尽くしたことで、幹部メンバーのモチベーションが底上げされ、社内の意思決定が劇的にスムーズになりました。また「理念が決まったことで、従業員数を現在の20名から100名に拡大することは可能だと確信が持てている」と語っていただけるほど、未来への揺るぎない土台が築かれました。

まとめ:あなたの「本気」が、古参社員の心を動かす

製造・建設業の現場を支えてきた古参社員の方々は、誰よりも「情」に厚く、誰よりも「誇り」を大切にする人たちです。 彼らが求めているのは、新しいルールではなく、「この社長についていけば、俺たちの技術と誇りはもっと輝く」という確信です。

2代目社長のあなたが、自分自身の孤独や不安も抱えたまま、本気で未来を語れば、組織は必ず変わります。

第2創業期を本気で駆け抜けたい経営者様へ

理念を飾り物ではなく「組織を変える武器」に変える具体的なステップを、私たちマイビジョンと共に踏み出しませんか? まずは、あなたの「本音」を私に聞かせてください。必ず、道は拓けます。

この記事の監修者 株式会社マイビジョン 代表取締役 玉田 響

中小・ベンチャー企業を中心に、理念設計(MVV設計)や採用戦略の構築などを50社以上支援。経営者と伴走しながら、組織づくり・人材育成に取り組んでいる。採用媒体の活用やSNS運用アドバイスでも実績あり。

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