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経営者インタビュー⑤ 株式会社BASICS 代表取締役 小畑智也さん
”何気ない”理由からITの業界に足を踏み入れ、
”とてつもない”IT業界の闇を目の当たりにしたのは
株式会社BASICS 代表取締役の小畑智也さんです。
今回のインタビューではそんな小畑さんに、
株式会社BASICSの名前に込められた、IT業界の闇に対するアンチテーゼや
同社が掲げる「6つのルール」に込められた想いなどについて
お聞きしました。
「プログラムがかけることと、お金を頂けることはイコールではない」
そう語る小畑さんの真意とは?
ぜひ最後まで楽しんでご覧ください!
~小畑智也さんの基本情報~名前:小畑智也(こばたともや)
役職:株式会社BASICS 代表取締役(→HP)
生年月日:1971年6月12日
SNS等関連ページ:Twitter、株式会社BASICSリクルートページ
~インタビュー記事概要~インタビュアー:株式会社マイビジョン 代表取締役CEO 玉田響
株式会社BASICSの事業内容
玉田:さっそくなのですが、御社が現在行っている事業内容についてご説明いただけますか?
小畑さん:はい、弊社が行っているのは、いわゆる「IT業(情報技術業)」です。
そしてIT業と一言に言っても、弊社が行っている事業には大きく3つのものがあります。
まず1つ目として、「BIPROGY(ビプロジー)株式会社」(旧社名:日本ユニシス)のパートナーとしてお仕事をさせてもらっています。つまり、BIPROGY(ビプロジー)株式会社のいくつかの開発案件を請け負ったり、SES(System Engineering Service=システム開発における業務委託の一種)と言われる案件に携わったりしています。
そして2つ目として、東京にある「株式会社カンブリアン プロジェクト」がプロデュースしている自律走行のロボットの開発を、オーダーメイドで行っております。
ちなみに私は現在、カンブリアンプロジェクトの取締役も兼ねております。
そして3つ目が、自社サービスの開発・適用です。現在は主に「ITシェアリング」というサービスを提供しています。
これは文字通り、IT部門が不在の中小企業さんに対して、弊社のIT部門をシェアリングするサービスです。
現在はこの3つの事業を中心に行っております。
玉田:ありがとうございます。ロボットって聞いて、なんだかワクワクしちゃいました。
見当外れな質問であれば申し訳ないのですが、お話いただいたロボットのことと、今流行りの「Chat GPT」とは関係があるんでしょうか?
小畑さん:そうですね、弊社が開発に携わっているのは、先ほどもお伝えした「自律走行ロボット」です。
ですが、弊社が主に担当しているのは、自律走行ロボットの自律走行の部分ではなくて、「自律走行しているロボットがどんなことをするのか」の部分です。
例えばで言うと、人間の代わりに見回りなどの警備をしてくれる「警備ロボット」であれば、弊社が開発しているのは、自律走行で見回りをして何か異常を見つけたときに、そのことを正しく警備員さんに伝える機能の開発の部分です。
玉田:はぁ、なるほどですね!
小畑さん:そして今は例えとして警備ロボットを出しましたが、ロボットが自律走行をしながらどんなことをするのかは、様々なパターンが考えられるわけです。
他の例えを挙げるとするならば、飲食店で活躍している配膳ロボットや案内ロボットなどがあります。
もし案内ロボットがお客さんとの会話を必要とするのであれば、そこは「ChatGPT」などの技術が関わってくるかもしれないですね。
株式会社BACICSの名前の由来
玉田:続いて、ツイッターでも一度拝見させていただいたのですが、株式会社BACICSさんの名前の由来について教えていただいてもいいですか?
小畑さん:はい、まず前提として「BASICS」というのは造語です。「初歩的な、基礎的な」という意味の単語である「basic」を複数形にしたものです。
この造語には、「まずは基礎的なことをしっかり積み重ねて、確かな価値をお客様に提供しよう」という想いが込められています。
というのも最近のIT業界には”基礎的な部分をおろそかにして、いわゆる飛び道具的なものでばかり戦おうとする人が増えてしまっている”と、私自身感じているんです。
玉田:興味深いですね、詳しくお話を伺ってもよろしいですか?
小畑さん:はい、そもそもの話をすると、私たちIT業界の人間からすれば「プログラムをかけるスキル」は、確かに持っておきたいものではあります。
ですが、「システムを提供する」という観点からは、「プログラムをかけるスキル」は必須のものではないんですよね。
玉田:えっ、そうなんですか?
小畑さん:はい、私たちがシステムを提供するそもそもの理由は、「何か課題を解決したいから」なんです。
ですから例えば、お客さんからデータ管理に関する課題解決のご依頼をいただいたとき、プログラムを書かずともExcelを使ってその課題を解決できるのであれば、それで済ませてしまうのが一番良い提案なんですよね。
こちらの手間も省けますし、なによりお客さんの費用も抑えられますから。
要は、「プログラムがかける」という飛び道具的な部分を持ち合わせているからお金を頂けるのではないんです。
お客さんの課題を適切な方法で解決できるからお金を頂けるんです。
玉田:なるほど、深いですね。
小畑さん:そしてお客さんの課題を解決するためには、例えばお客さんと話をするためのヒューマンインタフェースの能力やお客さんの心に寄り添おうとする気持ちなど、いろんな基礎スキルが必要になってくるわけです。
しかしながら今のIT市場には、人手不足も相まって、そういった基礎的なスキルをおろそかにしたまま、ラクして稼ごうとしている人がたくさんいるんです。
それによって私は、IT業界が劣化していると思っています。
私はこれがものすごく嫌で、自分が会社をやるのであれば「基礎スキルをしっかり積み上げていくことによって、お客さんの課題を解決できるようになるはずだ」というのを体現したいと思っていたんです。
ですから、”基礎的なスキルの積み重ね”という意味で、「BACICS」という名前にしました。
玉田:なるほど、そんな思いが込められていたんですね!
IT業界の黒い部分
玉田:私の認識としては、「IT業界は人気過ぎて入れない」というイメージを持っているのですが、実際のところどうなのでしょうか?
小畑さん:いえ、IT業界は慢性的な人手不足ですから、誰でも入れますよ。
例えば、全くのIT未経験者を「経験年数5年です」と言って売るような会社は、今時いくらでもありますからね。
玉田:えぇ、そんなことあるんですか!?
小畑さん:例えば今玉田さんが「僕IT未経験なんですけどいいですか?」って言って、IT系の会社を受けても、採用してくれるところはいっぱいあると思いますよ。
その代わり玉田さんは、全く何もわからないのにいきなり「この現場に行ってください」と会社に言われます。
一方で会社は、その現場の人に「玉田さんは経験年数5年です。」と言ってあるんです。
こういうことって、もう今や当たり前にありますよ。ツイッター界隈でもよく聞きますし。
玉田:そんなことをしている会社があるんですか・・・。
小畑さん:もちろんすべての会社がそうだとは言いませんが、今やITの会社は5万とありますから、そのうちの末端にいる会社はそういうことをやっていますよ。
でもそれで、事業が成り立ってしまうんです。だからややこしいんですよね。
玉田:それで成り立つんですか?
小畑さん:はい、なぜなら派遣した現場から「聞いていたレベルの人材と違う」と契約を切られてしまったとしても、人手不足の現場は他にも山ほどありますから、次の現場を見つけて同じように派遣すればいいだけだからです。
もちろん受け入れる現場側がこぞってブラックリストのようなものを作っていけば、いつかはなくなるかもしれませんが・・・。
玉田:なるほど、怖いですね・・・。
小畑さん:だから私としては、BASICSを経営するにあたって、そういった悪質な存在をITの市場から取り除きたいという気持ちもあります。
株式会社BASICSのミッション
玉田:続いて、御社が掲げられているミッション、ビジョンなどについてお話いただけますか?
小畑さん:はい、今いろいろ考えているところではあるんですが、今ビジョンとして設定しているのは「社会に最適なITを提供する」というものです。
これはさっきの話とも繋がってきますが、例えばお客さんの知識がないのをいいことに必要ないものを売りつけたりだとか、必要のないものを開発してその分のコストを請求したりだとか、頂いた対価に見合ったプログラムを作らないだったりとか、それらを排除した状態のことを「最適なITを提供する」と表現させていただいています。
玉田:なるほどですね。
小畑さん:そしてミッションのほかに、私たちが掲げているものとして、「6つのルール」というものがあって、それが他の会社さんでいうバリュー・行動指針にあたります。
補足情報~株式会社BASICSの6つのルール~
- Rule01、ITは目的ではなく、手段であれ
- Rule02、不要なものは、絶対に作らない
- Rule03、自らの考えと判断を、説明できる
- Rule04、方法論に基づいてこそ、真のモノづくり
- Rule05、ひとりじゃない、仲間と共に
- Rule06、感謝のやりとりが行き交う「IT」を
各ルールの詳細は、こちらのページからご覧ください。
玉田:ちなみにその6つのルールというのは、どういう風にして生まれたのですか?
小畑さん:そうですね、基本的には私がIT業界に足を踏み入れてやってきた中で、「これは間違っているだろう」と思ったことの”逆”を6つのルールにしているという感じですね。
例えば1つ目のルールである「ITは目的ではなく、手段であれ」は、先ほどまでお話していた内容をルールにしたものです。
ITを使うことや作ることが目的ではないんです。
ITはあくまでも、お客さんの課題を解決するための1つの手段に過ぎないんです。
小畑さんが魅力を感じる人材とは?
玉田:私は御社の「6つのルール」の中でも、特に「ひとりじゃない、仲間と共に」が素敵だなと思いました!
それに関連してなのですが、今後会社を続けて行くにあたって、新たな仲間を迎えることもあろうかと思います。
小畑さんはどんな方に仲間になって欲しいとお考えでしょうか?
小畑さん:そうですね、基本的には、今も話題に挙げていただいた「6つのルール」に共感していただけるというのが大前提です。
その上で、人とのコミュニケーションがしっかりとれる方に来ていただきたいですね。
なぜなら、お客さんの課題を解決するためには、お客さんとのコミュニケーションが必要不可欠だからです。
加えて、仲間同士のコミュニケーションも大切にしていただきたいなと思っています。
我々の会社は今フルリモートで仕事をやっていて、社員は全国に散らばっています。
ですので社員同士が会う機会は、それほど頻繁にはないんです。
ですが今の社員たちは、年に数回「旅行とか実証実験をしたいから集まろうよ」というと、しっかり集まってくれるんですよね。
そういう場面で、「いや、私はいいです・・・」というような方は、恐らく私たちの会社には合ってないかなと思います。
玉田:確かにそうですよね。
小畑さん:そして他には、「”入社テスト”にて設定している3つのポイントを満たす人であるか」、もしくは「同テストの回答へ、こちらからフィードバックをしたときに、価値を感じる反応をしてくれる人であるか」という基準もあります。
”この人は、自分の作ったものをどういう風に見ているんだろう”
そういう点に注目していますね。
小畑さんの人生のバイブル
玉田:最後になるのですが、小畑さんがこれまで読んできた本の中で、”これは人生観が変わった!”みたいなものがあれば教えていただきたいです!
小畑さん:そうですね、申し訳ないのですが、そういった本はあまりないんです。
ですが、私の人生のバイブルとなってくださっている人物ならいます。
玉田:いったい、どんな方なのですか?
小畑さん:過去、一緒にサッカーをやっていた2つ上の先輩です。
その先輩は自営業だったんですが、「事業のデータの管理にかなり苦労している」との話を私にしてくださっていました。
そこで私はその課題を解決すべく、簡単なExcelのフォーマットを作って、その先輩に無料で差し挙げました。
するとその先輩は、とてもとても喜んでくださったんです。
何度もお礼の言葉をかけてくれて、お礼の品もたくさん持ってきてくれて・・・。
実はその先輩は、少し前に若くして亡くなってしまったのですが、先輩の”ありがとう”の言葉は、私の心にずっと残り続けています。
「しっかりとお客様に感謝される仕事をしなければならない。」
改めて、そのように感じることが出来ました。
いかがでしたでしょうか?
小畑さんは、
「いかにお客様の課題を解決できるか」
に重きを置いておられることが分かりましたね。
そのためには、たくさんの基礎知識を積み重ねていく必要があるというのが、
会社名に込められた想いでした。
この記事をきっかけに、株式会社BASICSや小畑さんに、少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
役職:株式会社BASICS 代表取締役(→HP)
SNS等関連ページ:Twitter、株式会社BASICSリクルートページ