中小企業向け経営理念コンサルとは?費用・支援内容・失敗しない選び方を解説
MVV策定コンサルとは?支援内容・費用・選び方を徹底解説

「MVVを作りたいけれど、何から始めればいいのかわからない」
「経営者だけで考えるのではなく、社員が納得できるMVVを作りたい」
「せっかく策定するなら、社内で実際に使われるものにしたい」
こうした場合に選択肢となるのが、MVV策定コンサルです。
MVV策定コンサルは、単にミッション・ビジョン・バリューの言葉を考えるサービスではありません。経営者の想いや会社の歴史、事業戦略、社員の価値観などを整理し、自社らしいMVVとして言語化するプロセスを支援します。
さらに、コンサルティング会社によっては、社員への浸透や採用、人事評価制度への反映まで支援します。
一方で、支援範囲や得意領域は会社によって大きく異なります。
この記事では、MVV策定コンサルの支援内容から、自社で策定する場合との違い、費用、選び方、依頼前に確認したいポイントまで解説します。
目次
MVV策定コンサルとは?
MVV策定コンサルとは、企業のMission(ミッション)・Vision(ビジョン)・Value(バリュー)の策定や見直しを支援するコンサルティングサービスです。
MVVはMission・Vision・Valueを言語化したもの
一般的にMVVは、次の3つで構成されます。
- Mission:自社は何のために存在するのか
- Vision:どのような未来・状態を実現したいのか
- Value:その未来を実現するために、どのような価値観や行動を大切にするのか
言葉の定義は企業によって多少異なりますが、「自分たちは何者で、どこを目指し、どのように行動するのか」を組織として共有するためのものだと考えると分かりやすいでしょう。
MVV策定コンサルは「言葉を考える」だけのサービスではない
MVV策定というと、印象的なキャッチコピーを考える作業をイメージするかもしれません。
しかし、本来重要なのは言葉そのものより、その言葉が生まれるまでのプロセスです。
実際のMVV策定では、
- 会社がこれまで何を大切にしてきたのか
- なぜこの事業を行っているのか
- 顧客から何を評価されているのか
- 今後どこを目指すのか
- どのような社員・組織でありたいのか
といった問いを整理していきます。
現在提供されているMVV策定コンサルでも、経営者へのヒアリング、社員ワークショップ、現状分析、策定後の浸透まで含めるサービスが見られます。
そのため、「言葉を作ってもらうサービス」というより、会社の軸を整理し、それを組織で共有できる言葉へ変換する支援と考えた方が適切です。
MVV策定をコンサルに依頼すると何をしてくれる?
具体的な支援内容はコンサルティング会社によって異なりますが、代表的な流れは次の通りです。
現状・経営者の想いを整理する
最初に行うのが、会社の現在地を整理することです。
創業の背景、事業内容、自社の強み、競合との違い、今後実現したいこと、経営上の課題などを洗い出します。
ここで重要なのは、最初から「ミッションは何にする?」と考え始めないことです。
言葉だけを考え始めると、「お客様第一」「挑戦し続ける会社」のような、他社にも当てはまる表現になりやすいためです。
経営者自身も言語化できていない原体験や価値観まで掘り下げることで、自社らしいMVVの材料を集めていきます。
経営層・社員へのヒアリングを行う
MVVの策定では、経営者の考えだけでなく、必要に応じて幹部や社員の意見も集めます。
例えば、
「この会社らしいと思う瞬間は?」
「お客様から評価されていることは?」
「絶対になくしたくない文化は?」
「今後どんな会社になりたい?」
といった問いから、会社にすでに存在している価値観を探ります。
JMACでも社員ワークショップからキーワードや背景となるエピソードを抽出する方法を採用しており、TOMAでも幹部・社員を巻き込んだワークショップ型支援が行われています。
MVVの案を言語化する
ヒアリングなどから得た情報を整理し、Mission・Vision・Valueへ落とし込みます。
ここでは「格好いい言葉か」だけではなく、
- 自社らしさがあるか
- Mission・Vision・Valueにつながりがあるか
- 社員が意味を理解できるか
- 経営上の意思決定に使えるか
- 日々の行動につなげられるか
という視点で検討することが重要です。
ワークショップを通じて社内の意見を取り入れる
会社によっては、策定途中の案について社員や幹部と議論するワークショップを行います。
社員の意見をすべてMVVへ入れる必要はありません。
MVVには経営者が示すべき未来や意思も必要だからです。
重要なのは、「経営側が示したい方向」と「現場が感じている会社らしさ」の接点を見つけることです。
策定後の浸透方法を設計する
MVVは完成した時点がゴールではありません。
社内発表をして終われば、数か月後には誰も意識していない状態になる可能性があります。
そのため、策定後に、
- 社内研修
- 1on1
- 朝礼や会議
- 社内表彰
- 採用
- オンボーディング
- 人事評価
などへどう組み込むかまで設計します。
AACでは「言語化→伝達→仕組み化」という流れを採用し、理念に沿った行動を人事評価に組み込む方法も提示しています。
MVVは自社で策定する?コンサルに依頼する?
MVVは必ずコンサルへ依頼しなければ作れないものではありません。
自社だけで策定した方がよいケースもあります。
自社策定が向いているケース
経営者の考えが明確で、経営陣の認識も揃っており、社内で議論を進行できる人材がいる場合は、自社で策定することも可能です。
特に創業直後など、経営者自身が企業文化の中心になっている段階では、外部支援を使わなくても策定できることがあります。
コンサルへの依頼が向いているケース
一方、次のような状態では外部の第三者を入れるメリットが大きくなります。
- 経営陣でも会社の方向性について意見が分かれている
- 経営者の想いをうまく言葉にできない
- 社員数が増え、価値観がバラバラになっている
- 事業承継や経営体制の変更を予定している
- 既存の理念が形骸化している
- 社員も巻き込みながら策定したい
- 採用・評価制度までMVVと連動させたい
外部コンサルを利用する最大の価値は、「答えを作ってもらうこと」ではありません。
第三者から問いを投げかけてもらい、自社だけでは気づきにくい価値観や認識のズレを整理できることにあります。
MVV策定コンサルの費用はどのくらい?
MVV策定コンサルには、統一された料金相場があるわけではありません。
サービス内容が大きく異なるためです。
2026年9月時点で公開されているサービスを見るだけでも、少人数向けのワークショップ型から、数か月にわたりヒアリング・言語化・社内浸透まで伴走するものまで幅があります。例えば、3〜4か月のMVV策定支援を48万円で提示するサービスや、6週間・80万円からとするサービスがある一方、大企業向けなどは個別見積もりとなるケースもあります。
そのため、単純に「安い・高い」で比較するのはおすすめできません。
費用を左右する5つの項目
1. ヒアリング対象人数
経営者のみなのか、役員・管理職・社員までヒアリングするのかで工数が変わります。
2. ワークショップの回数
数時間のワークショップだけなのか、複数回にわたり議論するのかでも費用は異なります。
3. 成果物の範囲
MVVの文章だけなのか、ブランドブック、社内説明資料、行動指針などまで作るのかを確認しましょう。
4. 浸透支援の有無
完成後の研修やワークショップまで行う場合、策定だけの場合より支援期間が長くなります。
5. 評価制度や採用への反映
MVVを評価制度・採用基準などまで落とし込む場合は、組織設計まで含むプロジェクトになります。
見積もりを比較するときは、金額だけではなく「どこまで含まれている金額なのか」を確認することが重要です。
MVV策定コンサルを選ぶ7つのポイント
MVV策定だけでなく策定後まで考えているか
まず確認したいのは、「完成」がどこに設定されているかです。
MVVの文章が決まったところでプロジェクト終了なのか、社員への浸透まで支援してくれるのかでは大きく異なります。
「MVVを作ること」ではなく、「MVVによって何を変えたいのか」から提案してくれる会社を選びましょう。
経営者の想いを引き出せるか
良いMVVを作るためには、経営者の頭の中にある考えを深掘りする必要があります。
最初から言葉の候補を提示する会社より、「なぜそう考えるのか」「なぜこの事業を始めたのか」と背景まで聞いてくれる会社の方が、自社らしい言葉を作りやすくなります。
社員を適切に巻き込めるか
社員参加型で作れば必ず良いわけではありません。
経営者が決めるべき部分と、社員の意見を取り入れる部分を整理する必要があります。
そのため、ワークショップを実施するかどうかだけでなく、「誰を・いつ・何のために参加させるのか」まで設計できるか確認しましょう。
自社に合った進め方を提案できるか
創業5年の20名企業と、事業承継を控えた300名企業では、MVVを策定する目的も進め方も異なります。
決められたパッケージへ当てはめるのではなく、組織規模や経営課題に応じたプロセスを設計してくれるかがポイントです。
人事評価・採用・経営戦略までつなげられるか
MVVを会社経営で機能させるなら、人事施策との接続も重要です。
例えばValueとして「顧客起点」を掲げるのであれば、「顧客起点で行動できている状態とは何か」を具体化し、人事評価へ反映できます。
経済産業省も人的資本経営において、経営戦略と人材戦略を連動させる重要性を示しています。
MVVと採用・育成・評価がそれぞれ別々に設計されてしまうと、会社が社員へ送るメッセージも一貫しにくくなります。
成果物と支援範囲が明確か
契約前に、
- 何回ヒアリングするのか
- 誰が参加するのか
- ワークショップは何回か
- 何案提示されるのか
- 最終成果物は何か
- 修正は何回できるか
- 策定後の支援は含まれるか
まで確認しましょう。
同じ「MVV策定支援」という名前でも内容は大きく異なります。
担当コンサルタントとの相性を確認できるか
MVV策定では、自社の歴史や経営者の原体験、経営上の悩みなど深い内容まで話します。
会社の実績だけでなく、実際に担当するコンサルタントと率直に話せるかも重要です。
可能であれば契約前の打ち合わせで、担当者自身がどのような問いをしてくるのか確認しておきましょう。
MVV策定コンサルへの依頼で失敗しやすい3つのケース
言葉をきれいにすることが目的になっている
MVVで重要なのは、コピーとして格好いいかではありません。
経営判断や社員の行動につながるかです。
「挑戦」「誠実」「顧客第一」などの言葉を掲げるだけでは、人によって解釈が変わります。
自社における「挑戦とは何をすることなのか」まで考える必要があります。
経営者だけで決めて社員に発表する
経営者が方向性を示すことは必要ですが、社員が「突然上から降ってきた言葉」と感じると、自分事になりにくくなります。
策定途中でヒアリングをしたり、完成後に背景を共有したりするなど、社員がMVVを理解するプロセスまで設計しましょう。
策定後の仕組みがない
最も避けたいのが「発表会をして終わる」ことです。
MVVを継続的に使うためには、
「会議で判断基準として使う」
「Valueに沿った行動を表彰する」
「採用面接で価値観を確認する」
「評価制度に反映する」
など、日常業務へ組み込む必要があります。
MVVは策定後に「採用・評価・日常の行動」へつなげる
MVVの価値は、完成した文章ではなく、その後の経営にどの程度使えるかで決まります。
採用基準に反映する
Valueとして定めた価値観を採用基準へ落とし込めば、「スキルは高いものの会社の考え方とは大きく異なる」といったミスマッチを判断する材料になります。
採用サイトや求人票でMVVを伝えることも、会社が大切にしている価値観を候補者に伝える手段になります。
人事評価制度に反映する
Valueを具体的な行動へ分解し、人事評価項目へ反映する方法もあります。
例えば「挑戦」をValueとして掲げるなら、
「新しい提案を行った」
「失敗を共有し次の改善へつなげた」
など、自社におけるGOOD行動を定義します。
すると、理念が抽象的なスローガンではなく、「会社が実際に評価する行動」に変わります。
日常の意思決定に落とし込む
最終的には、「困ったときにMVVへ戻る」状態を作ることが理想です。
新規事業を始めるか。
採用するか。
顧客から無理な要求を受けたときどう判断するか。
そうした場面でMVVが判断基準として使われて初めて、組織の共通言語として機能します。
まとめ|MVV策定コンサルは「作る会社」ではなく「使える状態まで考える会社」を選ぶ
MVV策定コンサルを選ぶ際に重要なのは、格好いい言葉を作れるかだけではありません。
経営者の想いを引き出し、会社の歴史や事業戦略、社員の価値観を整理したうえで、自社らしい言葉へ変換できるかを見る必要があります。
さらに重要なのが策定後です。
MVVを社内へ伝え、日々の行動や採用、人事評価などへつなげなければ、時間をかけて作ったMVVも形骸化してしまいます。
そのためコンサルティング会社を比較するときは、
「どんなMVVを作ってくれるか」
だけではなく、
「そのMVVを会社でどう使える状態にしてくれるか」
まで確認してみてください。
